S)TORY
アイリーン(灰の量が足りな過ぎる…)
必死で灰を集めつつも、どこかで冷静に状況を判断する自分がいる。
僧侶をしていなければ、蘇生に必要な灰の量なんてわからなかったに違いない。
無駄でも親友を救う望みを捨てなかったに違いない。
無駄なのはわかっている、でも彼女は灰を拾うことをやめようとしなかった。
ロクリス「アイリーン!大丈夫か!?」
後ろで沈黙するアイリーンに、声をかけるロクリス。
そんなロクリスも既に限界だった。もはや防御する力すら残っていない。
だが彼は、敵の呪文を1発、また1発と受け、その度にふらつきながらもアイリーンの前に立ち、彼女を守り続けた。
アイリーンは何かを呟くと、灰の入った袋を床に置き、すっと立ち上がった。
そしてゆっくりとロクリスたちの前に歩み出る。
敵の放つ魔法の矢は容赦なく彼女に襲い掛かり、白い司祭服の随所が赤く滲み始めた。
ロクリス「やめ…」
ロクリスにアイリーンを制止するだけの力は残っていなかった。
敵の攻撃を受け、重くなり過ぎた足が言うことを聞かず、遂には膝をついてしまった。
ロクリス「逃げろ…。奴らに魔法は通用しないぞ。」
アイリーンはロクリスの助言に振り返らずに頷いた。
アイリーンは、首から下げたペンダントに手をかけ、それを握ったまま引き千切り、
そのまま腕を前に突き出した。そして彼女が何かを呟くと握りしめた拳から強い緑の光が漏れ出した。
アイリーン「ミームアリフ…」
ワードナ「仲間を失って、おかしくなっちゃったんですかね?」
ヴァンパイア・ロード「この娘…」
アイリーン「ラーイカフ…」
ヴァンパイア・ロード「トゥルーワード!!!このダンジョンごと吹き飛ばす気か!!!」
ワードナ「な!!」
アイリーン「ターザンメ!」