S)TORY
ガーヴ「助かった。礼を言うよ。俺の名はロクリス…。ん?」
ユウとアイリーンの様子を見て怪訝そうな顔をするロクリス。
ユウはといえば、声も容姿も兄と瓜二つの人物に別人宣言をされて、かなり戸惑った様子だった。
ユウ「その…剣は…」
ロクリス「ああ、これはこのフロアで見つけたんだ。ドラゴンに突き刺さってたからドラゴンスレイヤーだな。
いい剣だ」
アイリーン「ガーヴの剣なの?」
アイリーンの問に答えたのはロクリスだった。
ロクリス「この剣の持ち主を知っているのか?確かにグリップにガーヴと彫られているが…」
アイリーン「この子のお兄さんよ」
ロクリス「そうか…。なら、この剣を貰うわけにはいかないな。」
剣についた魔物の体液を拭き取り、ユウに手渡そうとするロクリス。だが、ユウは首を横に振ってロクリスの申し出を断った。
アイリーン「ユウ!それは、ガーヴの…」
「形見」と言いかけて口を噤むアイリーン。そう、ガーヴのLOSTはまだ確認されたわけではないのだ。
ユウ「その剣でワードナを倒してください…。お兄ちゃんの仇を…」
アイリーン「…ユウ」
ガーヴが行方不明になって以来、初めて兄の死を認めるユウ。肩を震わせ、目には涙を浮かべている。
ロクリス「…わかった。なんだか知らないが、あんたは恩人だ。ワードナを倒すくらいお安い御用だぜ」
ロクリスはパラパラに代わってパーティに加わった。
「ワードナを倒すくらいお安い御用」。そう言い放ったロクリスを、とんだお調子者だと思っていたアイリーンだが、
彼の実力はその考えを改めるのに十分なものだった。
彼は10階のモンスターをものともせず、サワダ、エチゼンの2人をあっさりと救い出したのだ。