S)TORY
それから数時間後。9階のエレベータが開いた。
オカサーファー、デーブ、エチゼン、フォン、そして復活したおんぷ。
ガーヴを助けるため、彼らは戻ってきた。
エレベータを降りた直後、彼らの耳に魔物の咆哮が飛び込んできた。
それは間違いなくドラゴンのものだった。ガーヴはドラゴンをやられてしまったのだろうか。
KANDIでガーヴを探すエチゼン。しかしガーヴの反応はない。ダンジョンに入る前に寺院の死亡者名簿を見た時は、
確かに名前があったというのに…。
ドラゴンの声の方へと走り出すオカサーファー。他のメンバーもそれに続く。
先頭を行くオカサーファーが立ち止まった。「あの」ドラゴンだ。
ドラゴンは凶暴さを増しているようだった。狂ったように声を張り上げては、
灼熱のブレスをそこらじゅうに吐き散らす。足元には数体の死体が見える。大きさや形からして人間ではないようだ。
あまりにもドラゴンのブレスが激しいため、パーティは距離をとって魔法で応戦することにした。
エチゼン、フォン、おんぷ、それぞれの手から次々と攻撃魔法が撃ち出される。
しかし、ドラゴンの勢いは一向に収まらなかった。
距離があるとはいえ、灼熱のブレスはパーティの体力を確実に奪っていった。
体力の少ないデーブは既に瀕死の状態、魔法使いたちは体力だけでなく魔力まで尽きようとしていた。
そんな状況の中、ワースレイヤーを構えてオカサーファーが飛び出した。
エチゼン「無茶だぜ!…ブレスが来るぞ!気をつけろよ!」
灼熱のブレスを寸ででかわすオカサーファー。ドラゴンとの距離が少しづつ縮まっていく。
すぐに2度目のブレス。一瞬反応が遅れたため、オカサーファーの左腕は炎に飲み込まれてしまった。
だが彼の腕に痛みはない。彼の腕を包むまばゆい光、それは、エチゼンが残りわずかな魔力で唱えた最後のDIOSだった。
さらに息を大きく吸い込むドラゴン。だが3度目のブレスが来るより速くオカサーファーはドラゴンの懐へと飛び込んだ。
ワースレイヤーを振りかぶるオカサーファー。しかし、何を思ったか彼はワースレイヤーを振り下ろさずに、ドラゴンとの距離をとった。
エチゼン「!?」
次の瞬間、真紅のドラゴンは大きな音を立ててダンジョンの床に倒れた。
激しく床が揺れ、辺りの灰や埃が一斉に舞い上がる。
オカサーファーが攻撃をやめたのは、飛び込んだ時にドラゴンが既に死んでいたからだ。
白目を剥いて、ゆっくりと倒れ始めるドラゴン。オカサーファーはそれに気づき慌てて距離をとったのだ。
いったい何があったのか?なぜドラゴンは死んだのか?
答えはドラゴンの背中にあった。ドラゴンの背中に深々と突き刺さる一本の剣。
グリップには持ち主の名前が刻まれていた。
ガーヴ=ハシヤンソフト、と。