はしやんソフト

ガーヴ＝ハシヤンソフトの名が死亡者名簿から消えた。彼の名が名簿から消えたのは復活によるものではない。 昨夜、救出に向かったパーティがダンジョンから帰還したが、現地に赴いた彼らもガーヴの亡骸を発見することはできなかったという。

カント寺院の療養所。そこには親友のために朝食を運ぶアイリーンの姿があった。
彼女の足取りは重い。実の兄の死を親友に伝えるべきか否か。 結局、彼女は答えを出せぬまま、親友が眠る病室のドアを開けた。

いつもはアイリーンに声をかけられるまで眠っているユウだが、今日は違った。 ベッドの上で半身を起こし、手に握られた何かを無表情で見つめている。
食事を載せたトレイをテーブルに置き、ベッドの傍のイスに腰掛けるアイリーン。 ユウは、持っていた紙をアイリーンに手渡した。
ユウがアイリーンに手渡したのは、何も書かれていない白い紙だった。

アイリーン「これは？」
ユウ「カブケンだよ」

静かに答えるユウ。

アイリーン「カブケン？でもこれ、何も・・・！！」

そう、何も書かれていなかったのである。言いかけたところでアイリーンはあることに気づいた。
以前、ユウの持つカブケンが燃え上がったことがあった。それを見て、兄の危機を知ったユウ。 事実、兄であるガーヴはダンジョン内で命を落としていた。 もし、ガーヴとカブケンが何らかの力でリンクしているのなら…。 ユウは、アイリーンよりずっと早く、失われた兄のことを知っていたのかもしれない。

一刻も早くワードナを倒して欲しい。アイリーンは、そう願わずにはいられなかった。
もし今、冒険中のパーティがワードナを倒せなければ、自分も、そしてこの大切な親友も 再びあの地獄のようなダンジョンに潜らなければならないのだから。

ガーヴ
FIRE DRAGONとの戦闘を最後に行方不明。彼の名が冒険者名簿から消えたことや、彼とリンクしていたと思われるカブケンが白紙になったことを考えるとLOSTした可能性が極めて高い。