S)TORY
カシャーン、カシャーン
鎧の塊が、ゆっくりと迷宮の入り口目指して歩いている。
アイリーン「ユウ〜」
その声に鎧の塊が反応した。
振り向こうとして体勢を崩し、ものすごい音を立てて「それ」は倒れた。
アイリーン「あんた、なんて格好してるのよ」
ユウ「お兄ちゃんを助けにいかないと…」
アイリーン「そんな兜ニ重にかぶってしゃべったって、わかんないわよ」
ユウ「三重だよ」
アイリーン「…。とにかく、起きなさいよ。」
鎧の塊はガシャガシャと音を立てて、もがいた。
アイリーン「どうしたの?、起きなさいよ。」
ユウ「…うん」
アイリーン「…あんた、もしかして…」
ユウ「……うん」
呆れながら親友の重過ぎる防具を1つ1つ取り払うアイリーン。2人はやっと同じ目線で話ができるようになった。
アイリーン「あんた、1人で行くつもりだったでしょ?」
ユウ「…うん」
アイリーン「しかも、こんなガラクタ背負って…」
ユウ「ガラクタじゃないよ、これはハシヤンソフト家の…」
アイリーン「…はいはい。でも、あんた、魔法使いでしょ?」
ユウ「…うん」
アイリーン「はっきり言うけど、あんた1人で、ガーヴを助けるのは無理よ」
ユウ「アイちゃんも来てくれるの?」
アイリーンの返事を聞いて、歓喜するユウ。
ユウ「でも…僧侶と魔法使いだけじゃ無理だよね…」
アイリーン「あんたにしては珍しく頭働くじゃない。大丈夫、そう思ってちゃんと連れてきたから。」
ユウ「ほんと?」
アイリーン「お得意様がLOSTしてもいいの?ってパパに言ったら、お小遣いくれて。そのお金で雇ってきちゃった」
なんて娘だ。
アイリーン「ユウ、紹介するわ。みんな、でてきていいわよ」
木陰から姿を現す4人の男たち。その姿を見てユウの表情が曇りはじめた。