はしやんソフト

#1から始めるウィザードリィ
第22話 「ハシヤンソフトのカブケン」

初版:2001年03月14日
更新:2003年06月21日

S)TORY

<リルガミン市ウィザーズカレッジ内>
リルガミン市のはずれに、魔法の習得や研究を行うためのウィザーズカレッジという施設がある。 一際目立つ黒い外壁は、強力な魔法が暴発しないよう、特殊な鉱石でコーティングされているためだ。 また、塔の周囲をゆっくりと回る複数の球状の物体は、外からの魔法による攻撃を完全に無効化する働きがあるという。

魔法の講義中、退屈な内容に飽きたのか、2人の生徒が声を殺して話をしている。 1人は講義よりも手元のアイテムに夢中のようだ。

アイリーン「ユウ、あんた、またその紙っきれ眺めてるの?」
ユウ「紙っきれって何よ!これはハシヤンソフト家に代々伝わる紙っ…いやお札なんだから」
(講師)「こら、そこ!次に私語したらMONTINOだぞ!」

アイリーン「ちょっと!大きな声ださないでよ!」
ユウ「きっと、何か物凄い古代呪文が書いてあるんだよ。これが読めたらなぁ」
アイリーン「古代文字で「カブケン」って書いてあるわね」
ユウ「カブケン?」
アイリーン「うん。カブっていうのが何を指してるかわかんないんだけどね」
ユウ「カブケンかぁ。もしかしたらモンスターとか召還する御札かもねぇ」
アイリーン「いいとこ、クリーピングコインかなんかじゃないの?」

その時だった。突然、ユウの持つ「カブケン」が炎に包まれた。

ユウ「きゃっ」
アイリーン「あんた何してるのよ!今度こそ、MONTINOだわ」

灰になった「カブケン」を神妙な面持ちで見つめるユウ。

アイリーン「…ユウ?」
ユウ「お兄…ちゃん?」
アイリーン「えっ…」
ユウ「ごめん、私、先帰る」

そういうと、ユウは教室を飛び出していった。


C)HARACTER

ユウ
ユウ=ハシヤンソフト。ガーヴの妹。ハシヤンソフト家に代々伝わる「カブケン」が燃えたことで兄の危機を知る。

アイリーン
アイリーン=カント。「あの」カントの娘。ユウとは魔法学校の同級生。ボルタックの次にぼったくりと言われているカントだが、人がLOSTするたびに眠むれぬ夜を送る父の姿を彼女は知っている。


D)ICTIONARY

MONTINO
相手の声を封じることで呪文の詠唱を封じる呪文。


P)RECEDING STORY T)OP N)EXT STORY