S)TORY
あっけなく散ったワードナとヴァンパイア・ロード。半信半疑のまま、パーティは帰路についた。
MALORの移動先は、壁のない地下7階。そこからエレベータと徒歩で地上に戻った。
ダンジョンの出口。そこには、1人のクッキョウなドワーフが待っていた。
クッキョウなドワーフ「おめでとう!君達は大君主トレボーの試験に合格した。ワードナの護符を取り戻したことにより、トレボーは諸君に50,000GPの金と経験値を与えたうえに諸君を近衛兵の将校に任命した。」
どうやら、本当にあれで終わりだったらしい。あまりのあっけなさからか、目標の達成を素直に喜ぶ者はいなかった。ある1名を除いては。
ソドム「アッパレィ!!」
それから数ヵ月後…。
アイリーン=カントは、カント寺院内の墓所を訪れていた。
彼女が祈りを捧げる墓標には「ハシヤンソフト」の名が刻まれている。
カントの一人娘であるアイリーンは、カント寺院を継ぐことを決めていた。
彼女は今、ワードナ討伐の冒険に参加した時と同じ司祭服を纏っている。
だが、当時と違うのは、司祭服にしっかりとカントの刺繍が施されていることだ。
それが継承を決意したというなによりの証拠だ。
あの時…。自分にもっと力があれば親友を救うことができたかもしれない。そう想い悩む夜もある。
だが、今はその力がある。多くの命を救うことのできる力が。
誰もが自分と同じ思いをしないように、誰もがかけがえのない大切な友を失わないように、
彼女は日夜、治療と蘇生に全てを注いでいる。
"#1 Proving Grounds of the Mad Overlord" 完