S)TORY
長い長い1本道の先に、電飾を散りばめた看板が立っていた。
「"邪悪な魔術師 ワードナの事務所" 営業時間は午前9時から午後3時 今、ワードナは*在室中*」
*在室中*の文字が点灯している。やっとの思いで辿りついた冒険者を小バカにするかのような看板であった。
ロクリスが扉を蹴破り、パーティは中へと踊りこんだ。
パーティの目に最初に飛び込んできたのは、ワードナではない。ヴァンパイア・ロードだった。
扉の音を聞いて奥のドアからワードナも出てきた。
センドメール「ヴァンパイア・ロード!ワードナは、ヴァンパイア・ロードまで味方につけているというのですか!?」
ワードナだけならなんとかなったかもしれない。だが、吸血鬼の王を相手にするとなれば話は別だ。人間やエルフの彼らには万に一つも勝ち目はないかもしれない。
ヴァンパイア・ロード「あらあら。あなたたちは、また私のディナーを邪魔しようって言うの?まったく…お友達が殺されるだけじゃあ、懲りなかったのかしらねぇ。」
ヴァンパイア・ロードの言葉を聞いて、アイリーンが硬直した。この吸血鬼がユウを…。
ヴァンパイア・ロード「かわいいから、せっかくサキュバスにしようと思ったのに…。でも、余興は楽しんでいただけたかしら?」
アイリーン「許せない…」
ヴァンパイア・ロード「あら、怒ってるの?無駄よ。あの妙なマジックアイテムでもない限り、あなたごときがトゥルーワードの呪文を使えるはずがないじゃない」
ロクリス「全てお見通しってことか…」
ヴァンパイア・ロード「あの魔法なら、私を倒せたかもねぇ。もっとも、万に一つの確率が万に二つになるくらいだけどねっ」
ヴァンパイア・ロード「さてと…、スープが冷める前に済ませましょうか。」
椅子からゆっくりと立ち上がるヴァンパイア・ロード。部屋の光を遮るほどの長身は、それだけで威圧感がある。
ヴァンパイア・ロードが手をかざすと2匹のヴァンパイアが現れた。ワードナも魔法で杖を引き寄せ、戦闘準備に入った。
遂に決戦の時が来た。