はしやんソフト

#1から始めるウィザードリィ
第58話 「ワードナとヴァンパイアロード」

初版:2001年10月06日
更新:2003年06月22日

S)TORY

サワダ、エチゼン、フォンの同時ロストは他の冒険者に大きな衝撃を与えた。頼れる高レベルの冒険者の死。これからどう冒険を進めていけばよいのか…。
生き残ったソドム、デーブ、ユウに、ロクリス、アイリーン、パラパラが加わった。 彼らは10階に潜るのを控え、9階で安全に、そして確実に経験値を貯めることにした。
そんなロクリスたちが進むすぐ下の階で、冒険者たちに巨悪の根源と目される2人が悠長に会話をしていた。

ワードナ「食事の準備ができましたよ」
ヴァンパイアロード「おっ、おー。今日はシチューなの?。ワードナちゃんもやればできるじゃない」

冒険者が見たらなんと思うだろうか…。

ヴァンパイアロード「いっただっきま…」
ワードナ「どうかしたんですか?」

皿の中のシチューを何度も指差すヴァンパイアロード。見ると黒い埃のようなものがシチューの上に浮いていた。

ワードナ「わ…私は入れてませんよ」
ヴァンパイアロード「…わかってるわよ。今、上から降ってきたんだから」

そう言いながら、机の置いてある方に手をかざすヴァンパイアロード。 すると、机の上の水晶玉がと空中を移動し、ヴァンパイアロードの手の中に収まった。
手に持ったまま、ヴァンパイアロードが短い呪文と唱えると水晶玉は鈍い光を放ち、何かを映し出し始めた。

ヴァンパイアロード「この子たちね…」
ワードナ「何か?」
ヴァンパイアロード「今、この上を通った冒険者たちよ。この子たちに、ディナーを台無しにしてくれた御礼をしなきゃね」

無表情でそう言い放つヴァンパイアロード。だが、水晶玉を見ているうちにその表情は一変した。

ヴァンパイアロード「…かわいい」
ワードナ「はっ?」
ヴァンパイアロード「この子よ、この子」

水晶玉にアップで映し出されたのは、9階を進むユウの姿だった。

ヴァンパイアロード「捕まえてサキュバスに…。ワードナちゃん、助手を5、6人貸して」
ワードナ「え!困りますよ」
ヴァンパイアロード「もぅ、ケチ臭いなぁ。いいじゃない」

ヴァンパイアロードがまたも呪文のような言葉を口にする。 すると別の部屋で魔法の実験をしていたワードナの助手たちが殺気に満ちた目つきでヴァンパイアロードたちのいる部屋に現れた。

ワードナ「な、なにをしたんです!?」
ヴァンパイアロード「怒らない、怒らない。ちょっと魔法の力を強くしてあげただけだから」

ワードナが不満の声をあげたが、ヴァンパイアロードには届いていなかった。ヴァンパイアロードは水晶に映る女性に夢中なのだ。

ヴァンパイアロード「そう…。ティルトウェイトも使えるんだ。ふふっ、楽しみ」


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