S)TORY
番人の部屋。そこには7人の人間が待ち構えていた。
鎧の男「ほう、今度はかわいいお嬢さんが二人もいるパーティですか。まあ、お手柔らかに頼みますよ」
挑発的な番人を睨みつけるアイリーン。
一瞬の沈黙の後、双方の戦士が武器を構える。戦闘開始だ。
アイリーンが杖を掲げる。
アイリーン「MON…」
敵僧侶「MONTINO!」
アイリーン「(しまった!)」
敵のMONTINO(沈黙の呪文)が一瞬早く発動する。アイリーンの後悔の言葉は、声にならなかった。
呪文の援護がなくなって一気に不利になるパーティ。メンバーが次々に倒されていく。そして…。
鎧の男「意外とあっけなかったですね。あとはお二人だけですよ。どうしますか?」
恐怖で震えるユウを後ろに、身構えるアイリーン。
鎧の男「大丈夫ですよ。女性を傷つける趣味はありませんから。グレイス、頼みましたよ」
後方で呪文の詠唱を始める魔法使い。鎧の男が呼んだのは彼の名だろう。
突然、アイリーンの体全体に「違和感」が走った。彼女を襲う強烈な睡魔、眠りの呪文KATINOを掛けられたようだ。
ここで倒されれば、親友のユウも…。必死に精神抵抗を試みるアイリーン。
しかし、抵抗も長くは続かなかった。全身から力が抜けて行く。
振りかえると、ユウはすでに眠りに落ちていた。
アイリーン「(ユウ…)」
その場で崩れ落ちるアイリーン。沈黙の室内に、杖の倒れる音だけが響きわたった。