それはFF8発売日前日のことであった。

小雨のちらつく秋葉原で、私はFISTを探していた。
かつてフィストマスターとして恐れられた私。全キャラを極め、 FISTビデオなるものまで作っていた。
そこまで入れ込んだ私だったが、FISTはその昔、修行仲間(FISTの)に200円で譲っていた。

カウンターでメチャクチャ浮いた相手にラジオ体操を入れたい!!
「ぐるぐるパーンチ」「イッツショータイム」。頭の中でコダマする彼女たちの掛け声。
拳と拳で語りあった、あの時の感動をもう一度!

今回フィストを買う目的はそれだけではなかった。 クソゲーゲッターへの道を踏みだそうとしていたのだ。
しかし、手元には、あのデス様がない。なんとも情けないクソゲーゲッターである。

辺りが暗くなるにつれ、ゲームショップの前に謎の人影がちらつきはじめる。
FF8徹夜組だ。
やったことがないのでゲームとしての評価は謎だが、注目度No.1のゲームであることに違いはない。
FF8徹夜組を尻目に、私はひたすらその対極に位置するようなゲームを探しまわる。

まず、1件目。狭い「階段」を上ると、サターンの中古ソフトコーナーがあった。
そこにFISTはなかった。だが…。
彼が鎮座していたのだ。生まれて初めて見る本物。これが…。
しかし、14800円。高い。
「こんな高いもの買えるかよ!ファーストウインドウじゃあるまいし(謎)」
店を後にする私。

2件目。
やはりFISTはない。そんなに人気なんだろうか…。
と、ショーケースの中にさっき見たあのソフトを発見する。
9800円。買いだ!

FISTの購入しか頭になかったので財布には3000円しか入っていなかった。
だが迷ってる暇はない。他行を利用しないというポリシーを捨て、東京三菱に走る私。
「急げ!デス様が売れてしまう!」

再び、その店に舞い戻った私。ショーケースの中のデス様を確認する。
そして…。
「これください」
言ってしまった…。ちょっと指をずらせば、もっとまともなゲームが買えるんだぞ、おい!聞いてるのか、オレ。
しかし、その指がずれることはなかった。360度、どの方向から見ても差しているのはただ一つ。デス様だった。
「これですね」
店員がショーケースを開ける。笑うな店員!(笑

ついにデス様GET。そしてデス様のプレイにはかかせないバーチャガン(以下、クリムゾン)もGETする。
FISTもGETしたが…。デス様の前では赤子同然だ。
もう秋葉に用はない。秋葉を後にする私。

家についた私はさっそくサターンの前に座る。しばらく触っていなかったので、うっすらとホコリをかぶっていた。
とりあえず、FISTを入れてみる。お楽しみは最後に残しておくものだ(謎。
FISTを手放してからあれだけ時が経っていたというのに、腕は衰えていなかった。すべてが完璧だった。
だが…、無論FISTで満たされるハズはなかった。
FISTとデス様を入れ替える。思えば、これが最後のディスク交換だったかもしれない。
本体前面にクリムゾンのプラグを突き挿して…。リセット。

セガサターンのロゴ。そして…。
エコールロゴだ。これが…。謎の仮面の上をECOLEの5文字が移動する。
と、とばせない!!噂どおりだ!
「うれしい」(狂)
ポケモンスナップにハマルおっさんが、子供とシールを交換できた時の比ではないのだ!(謎)。

ほっとくとムービーがはじまった。
デスビスノスが雄叫びをあげる。深夜にこの声を聞いた隣人は何と思っただろう。
「それは10年前のことであった」。デスクリムゾンの世界が語られていく。
敵のヘリに追われる越前たち。機関砲かなんかで攻撃されているんだろうか。
何ヘマやってるんだよ。ここで越前たちを殺してしまえば…。

「ダニー、グレッグ生きてるか〜」「おぉ、なんとかな〜」
グレッグはどうしたんだ〜。ストーリーを読むと、この時はまだ生きているようだけど。

「上から来るぞ、気をつけろよ」「なんだこの階段は!」「せっかくだから…」。伝説の言葉が次々に飛び出す。
こうして越前康介はクリムゾンを手にいれた。いよいよ、ゲーム開始だ。

と、その前にオプションを…。いや、見なかったことにしよう。
次に「照準設定」。
これは…。もしや中心に弾が撃たさるように自分が移動するモードなのか?
なんと斬新な!でもそれは誤解だった。

やっとゲーム開始。構えは「はしやん撃ち」だ!(辞書参照)。
「サロニカの街」。噂には聞いている。しかし、この暗闇に発砲できるのはなぜ?
目の前に「サロニカの街」が現れる。と、いきなり敵の兵士が!撃ったらゾンビ(?)になって死んじゃった。
すると今度は頭上から3匹のコウモリが…。難なく倒す。
少し進むと、白い人が現れた。人質?突然、地面から現れたように見えたけど…。アヤシイ。
って、ヒザ折って消えていったぞ!大丈夫なのか?あの人は!
しばらくすると、街に変な四角が現れた。撃ってみた。1UP!
え?何が増えたの?(ゲームのシステムとしてクレジットが増えるなんて…。斬新だ。)
と、すぐ近くに人が出現。すかさず撃つ!
「オーノー」
こ、これが…。オーノーだ。民間人を撃ったというのに、喜びがこみ上げてくる。
「オーノー」。とりあえずマネして口に出す。

オーノーを聞いて喜んでいたのも束の間、遠くにコウモリが現れて、ちょっと羽根を広げた。
「やりやがったなー」
え゛、今の何?動揺しているとそこにまたコウモリが…。
「あ゛ー」。悶える越前(…
コンティニュー!?どうやら死んだようだ。 私はコンティニューをしない人間なのでそのままにしておく。
するとまた飛ばせないエコールロゴがはじまった。

つづく



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